2026.09.24
2026年3月以降に関係省庁等から公表された、飲酒運転・飲酒問題に関する主な制度改正や施策等の動向をまとめてご紹介します。
【公表・決定】
法務省/2026年7月公布
【概要】
危険・悪質な運転行為をより適切に処罰するため、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」および道路交通法の一部が改正されました。
今回の改正では、危険運転致死傷罪のうち、アルコールの影響による運転について数値基準が設けられ、処罰対象となる行為が明確化されました。具体的には、血液1ミリリットル当たり1.0ミリグラム以上、または呼気1リットル当たり0.5ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で自動車を運転し、人を死傷させた場合などが、危険運転致死傷罪の対象となります。該当する運転行為によって人を負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、人を死亡させた場合は1年以上の有期拘禁刑が科されます。
本改正は、2026年6月25日に成立し、同年7月1日に公布されました。2026年7月21日から施行される予定です。
飲酒運転による重大事故に対する処罰基準が明確化されたことにより、飲酒後に運転しないことはもちろん、事業者においても、アルコールチェックや点呼、従業員教育などを通じた予防策を一層徹底することが求められます。
【出典】
法務省「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律及び道路交通法の一部を改正する法律案」
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00231.html
【発表日/発信元】
令和8年3月31日 国土交通省
【概要】
国土交通省は、2030年度までの事業用自動車における事故削減目標と安全対策を示した「事業用自動車総合安全プラン2030」を策定しました。本プランでは、バス、タクシー、トラック、貨物軽自動車を含むすべての業態において、引き続き「飲酒運転ゼロ」が目標として掲げられています。国土交通省は、事業用自動車の運行において、点呼の未実施や飲酒運転などの悪質な法令違反が依然として発生していると指摘しています。また、2024年には、事業用中型トラックによる飲酒を起因とした死亡事故も発生しています。こうした状況を踏まえ、本プランでは、点呼時における適切なアルコールチェックの徹底に加え、飲酒運転の背景となるアルコール依存症などの問題に対する取組の必要性も示されています。飲酒運転を防止するためには、アルコール検知器による確認だけでなく、点呼の確実な実施、確認結果の記録・管理、従業員への教育、飲酒習慣に問題を抱える運転者への早期対応を組み合わせた継続的な安全管理が重要です。
【出典】
国土交通省『事業用自動車総合安全プラン2030』を策定しました
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000752.html
国土交通省 「事業用自動車総合安全プラン2030」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/news/anzenplan2030.html
【公表/決定】
厚生労働省/2026年3月27日
【概要】
政府は、2026年度から2030年度までを対象とする「アルコール健康障害対策推進基本計画(第3期)」を閣議決定しました。
本計画では、アルコール健康障害を本人の健康上の問題だけではなく、飲酒運転、暴力、虐待、自殺などにも関連する社会的な問題として位置付けています。
予防、早期発見、治療、回復支援に加え、当事者の家族に対する支援も進める方針が示されています。飲酒運転対策については、飲酒運転を繰り返す人の背景にアルコール依存症などの問題がある可能性を踏まえ、精神保健福祉センター、保健所、医療機関、自助グループなどが連携し、相談、治療、断酒・減酒支援につなげる体制を強化します。このほか、取消処分者講習の内容の見直し、飲酒運転者の実態調査、地域における取組事例の収集・周知なども盛り込まれています。
【出典】
厚生労働省「アルコール健康障害対策推進基本計画(第3期)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71947.html
厚生労働省「アルコール健康障害対策推進基本計画(第3期)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001680715.pdf
【発表日/発信元】
厚生労働省
【概要】
厚生労働省は、飲酒に伴うリスクへの理解を深め、一人ひとりが自身の状況に応じて適切な飲酒量や飲酒行動を判断するための「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。ガイドラインでは、飲酒量をお酒の容量だけではなく、含まれる「純アルコール量」で把握することが重要とされています。純アルコール量は「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数÷100)×0.8」で算出でき、例えばアルコール度数5%のビール500mlには、20gの純アルコールが含まれます。また、アルコールによる健康への影響には個人差があるため、自身の体質や健康状態、疾病の発症リスクなどを踏まえて飲酒量を決めることが求められています。日頃から自身の飲酒量を把握し、不適切な飲酒を減らすことは、アルコール健康障害の予防だけでなく、飲酒運転防止にもつながる重要な取組です。
【出典】
厚生労働省 「健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html